- 2021年1月6日更新
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- 医師監修
胃腸炎の原因や症状、潜伏期間は?発熱も?大人と子供の胃腸炎を知る

子どもでも大人でもかかる胃腸炎。激しい嘔吐と下痢でトイレから出られないなんてこともよくあります。さらに、胃腸炎にはいろいろな種類があるって知っていましたか?そんな胃腸炎の症状や原因、潜伏期間、予防法などを解説します!

周りで胃腸炎にかかって仕事を休んだ、脱水症状で入院したということを耳にしませんか?比較的身近な病気で、1年を通して夏にも冬にも流行る胃腸炎。下痢や嘔吐などのイメージが強いようですが、実は原因など知らない人も多いようです。そんな「胃腸炎」について詳しくご紹介していきましょう!
胃腸炎の原因
胃腸炎とは病名の通り、胃と腸に炎症が起きる病気の総称です。胃腸炎には大きく分けると感染性の胃腸炎と非感染性の胃腸炎があり、その中でも様々な種類があります。
「感染性の胃腸炎」
- 細菌性の胃腸炎:高温多湿の夏頃で食中毒によるものが多いです。腸炎ビブリオ・サルモネラ・黄色ブドウ球菌・ボツリヌス菌、0-157などです。抗生物質で治療効果がみられます。
- ウイルス性の胃腸炎:冬場に流行ることが多いです。ノロウイルス・ロタウイルス・腸管アデノウイルスなどがあります。ウイルスには抗生物質は効かないため、対症療法がメインとなります。
「非感染性の胃腸炎」
- 食物アレルギーや薬物による胃腸炎:卵やそば、牛乳などが原因でアレルギー反応が起こり、嘔吐や下痢を引き起こすものです。また、抗生物質などの副作用では、腸内細菌の減少によって下痢が続くこともあります。
- 虚血性腸炎:高血圧や便秘が原因により、一時的に腸内の血流が滞ることで、腸の粘膜に炎症が起こる病気です。
症状が似ている病気
- 機能性ディスペプシア:胃のむかつきや吐き気などの症状があるにもかかわらず、胃カメラなどの検査では異常が見つからない病気です。以前までは神経性胃炎・ストレス性胃腸炎などと呼ばれていましたが、炎症が見つからないのに、胃腸炎と呼ぶのはおかしいという理由から、上記の名前に変わりました。ストレスや生活習慣などが原因ではないかとされています。
- 過敏性腸症候群:上記と同様に大きな異常は見られないものの、慢性的な下痢や便秘が続く病気です。こちらもストレスや生活習慣が原因ではないかとされています。
胃腸炎の症状
症状として多いのは下痢・嘔吐・腹痛が主なものとしてあげられますが、原因菌やウイルスなどによっては発熱や倦怠感のような全身症状が出ることもあります。また、一番怖いのは下痢や嘔吐を繰り返すことで起きる、脱水症状や電解質異常などです。胃腸炎で入院した人の大半は、この脱水症状や電解質異常が原因であることが多いでしょう。脱水症状や電解質異常では、体の中の水分バランスが崩れることにより、筋肉の収縮などがうまくいかず、意識障害、傾眠、嘔吐などが起こります。最悪の場合痙攣発作を起こす危険性もありますので、十分に注意が必要です。
熱のでる胃腸炎もある?
熱が出るものとしてあげられるのは、細菌性のサルモネラ菌、カンピロバクター、腸炎ビブリオやウイルス性の腸管アデノウイルスです。これらは熱が40度ちかくまで出るのが特徴です。また、ロタウイルスやノロウイルスでも38度前後の熱が出ることもあります。熱があるかないかで、胃腸炎の確定診断における有力な情報となります。
胃腸炎の潜伏期間はどのくらいか
潜伏期間とは、感染してから症状が発症するまでの期間をいいます。基本的に胃腸炎の潜伏期間は2~3日であることが多いですが、原因菌やウイルスなどによっては差がありますので、以下にまとめておきます。
- 潜伏期間が数時間~半日:黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオ
- 潜伏期間が1日~3日:サルモネラ菌、カンピロバクター、0-157、ノロウイルス、ロタウイルス
- 潜伏期間が1週間程度:アデノウイルス
注意しなければならないことは、症状が治まっても便の中にはウイルスが残っていることも多く、1週間前後は感染に気をつけるようにしてください!
感染経路は?
細菌性の胃腸炎の場合は、感染した食べ物や飲み物を摂取することでうつる経口感染が主な原因です。また、ウイルス性の胃腸炎のように人から人へとうつることを接触感染といって、吐物や排泄物などについた病原体を手で触り、口から体内に取り込んでしまうことで起こります。また、子どもなどで多いのは、汚染されたオムツやおもちゃなどを処理した後に、手で触れてしまい、公共施設やオムツ台などから感染してしまうケースも多くあります。特にノロウイルスなどのウイルス性の胃腸炎は感染力が強く、保育園や学校、会社などで集団感染しやすい病気ですので、注意が必要です。
胃腸炎の治療
胃腸炎症状がひどい場合、水分が全く摂れず脱水の危険がある場合には病院へ受診することをおすすめしますが、ウイルス性の胃腸炎の場合には抗生物質は効かないため、整腸剤や吐き気止めの処方、脱水予防の点滴などがメインとなります。基本的には対症療法で、菌やウイルスが体外に出るのを待つしかないのです。
予防策はあるの?
細菌性の胃腸炎の予防のためには、まずは食品の保存や調理方法に注意しましょう。まずは夏の高温多湿の時期には冷蔵・冷凍保存を心がけ、貝類や生魚などの内臓を含んだものは加熱調理するようにします。調理をしたまな板や包丁は熱湯消毒(85度以上で1分)、または塩素系漂白剤を使用して消毒するようにしましょう。
また、周りに胃腸炎を発症している人がいた場合に、感染拡大させない方法はいくつかあります。まずは吐物や排泄物を処理する際にはマスク、使い捨てのビニール手袋、エプロンなどがあれば完璧です。特に吐物や排泄物は風によりウイルスが空中に舞うことがあるので、注意しましょう。
そして、その後の掃除はウイルスが原因の場合、アルコール消毒では意味がありません。塩素系のピュ-ラックスやミルトン、家庭用漂白剤のブリーチやハイターなどを使って、ふき取りを2回以上行うようにしてください。汚染された衣類はビニール袋に入れ、85度以上の熱湯消毒か塩素系漂白剤で消毒してから洗濯しましょう。さらに、帰宅時や食事の前、トイレの後にはきちんと手洗いすることでかなり予防できると思います。できればタオルは共有せずに、個別に分けることをおすすめします。
子どもが胃腸炎にかかった場合
子どもは夜中に突然嘔吐することがあります。しかも、30分~1時間おきに吐き続けるような症状です。特に小さい子どもの場合、嘔吐したものが気管に入り、窒息してしまう危険もあります。嘔吐が続くようであれば、体を仰向けではなく、横向きにし、タオルなどを敷くようにしましょう。
また、嘔吐や下痢が続くとこわいのが脱水症状です。特に子どもは大人と比べると体の中の水分量が多いため、脱水になりやすいのです。知らない間にぐったりとして意識が朦朧としているなんてこともあります。しかし、水分を飲ませても、また吐いてしまうの繰り返しで、なかなかうまくあげることができない場合も多いでしょう。そんな時は一口ずつ飲ませ、30分様子をみる、また30分後に一口飲ませるといったような方法をおすすめします。水分もお茶などではなくスポーツドリンクやドラックストアなどで売られている経口補水液(OS1など)の方がより吸収率がいいとされています。
そして、脱水兆候を見逃さないためには、唇や口の中がカサカサしていないか、泣いても涙が出ない、尿の量が減っていないかなどに注意してください。嘔吐が落ち着いてきたら、食事を開始しましょう。まずはお粥やうどんなどの消化のいい炭水化物を少量ずつ摂り始めるようにしてください。嘔吐が続いているときに無理に食べさせようとすると、上手く消化が出来ず、悪循環に陥ることになります。
大人が胃腸炎にかかった場合
大人が胃腸炎にかかった場合、ある程度食品によるものなのか、ウイルス性なのか原因が分かりやすいことが多いです。しかし、大人であっても嘔吐や下痢でトイレから出てこられないというのは子ども同様に辛いものです。特に子どもがいる家庭では親子そろって胃腸炎にかかってしまうなんてことも多いようです。細菌性とウイルス性の胃腸炎では子どもと症状は変わりませんが、大人の場合には胃腸炎の原因は他にもあります。
先ほどあげたストレス性のものや暴飲暴食、カフェイン、アルコール、刺激の強いもの(辛いもの)ばかりをとっていることなどで、腸の粘膜が荒れてしまうことがあげられます。対処法としては子どもと変わらず、脱水予防のためにこまめに水分を摂るようにしましょう。また、嘔吐がひどい場合には固形物は避け、落ち着いてから消化のいいものを摂るようにしてください。

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